自転車で集合したい

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「自転車に乗ろう」と思った。

 

このまちの小さな商店街にはパン屋さんも、お醤油屋さんも、おにぎり屋さんも、お豆腐屋さんもある。和菓子屋さんも洋菓子屋さんも、怪しいスナックだって。

 

まちに馴染んだ生活をするには、自転車がいいだろうとずっと思っていた。

 つくり手の顔が見えて会話を交わして、道に小さな花が咲いていることに気がついて、あの辺りはどんな匂いがするとか日が長くなったなとか感じながら暮らす。それって豊かだなぁと思いながらも、タイミングを見失って車生活を続けていた。

 

アメリカヤができて「今だ」と思って、まちの自転車屋さんに駆け込んだ。

平日の午後の小さな自転車屋さん。

お客さんあんまりいないのではと余計な心配をしたけれど、「さっきも使ってない自転車を使いたいって持ってきた人がいたよ」と店主は言った。タイヤに空気を入れて、サビサビのチェーンに油を挿してもらう間にも、子どもの自転車のメンテナンスに来た主婦と、これまた使っていない自転車を軽トラで運んでくるおっちゃんが。ひどく錆びた自転車を見ながら、自転車屋の店主は少し聞き取りにくい滑舌で「今日はすごい日だ」と言って笑ってた。

春になって、みんな自転車に乗りたくなったのかもしれない。わかるなぁその気持ち。

 

自転車とかスケボーとかキックボードとかで友だちと集まってアイスでも食べながらくだらない話をしていたい。

大人だってもっとそんな生活をしてもいいと思う。